コロナ禍で非対面のタッチポイントが重要視される中、自店舗の商品をオンラインショップで販売して集客を行っている店舗も増えてきています。オンラインショップでは配送環境さえ整っていれば遠方からの注文も対応可能であり、使いようによっては新しく販路を広げられるチャンスを獲得可能です。
今回はオンラインショップの概要やメリット、そしておすすめの制作サービスやアプリと連携させるメリットをご紹介していきます。
1:オンラインショップとは?
オンラインショップとは「インターネット上で商品を販売するサービス」のことです。Webサイトとして構築したりアプリベースで制作したりと、いくつか構築方法があります。
経済産業省が2021年7月に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年のBtoCにおけるEC市場は19.3兆円億円となりました。コロナ禍によってECの利用が増加した2020年から横ばいであり、引き続きECへ人気が集まっているのがうかがえます。ちなみに横ばいになった原因としては旅行サービスといったEC利用が減少したのも関係しており、物販系分野は順調に売上規模を成長させているのもポイントです。
また全取引商金額におけるECの取引割合(EC化率)を見ると、BtoCは8.08%と前年比1.32ポイント増加を達成しています。各業種がコロナ禍でオンラインショップへ販路を移行、売上に占めるECの割合が増えたことが推察できるでしょう。
データから分かるようにEC市場は年々その規模を大きくしており、すでに多くの企業は自社のオンラインショップを所有しています。
オンラインショップは単にオンラインの集客ツールとして機能するだけでなく、「店舗と連携させてオムニチャネルで総合的な集客を図る」といった手法でも活用可能です。また制作ハードルも下がっており、コスト的には無料から、また技術面では高いスキルを必要しなくなっている点もポイントです。
2:制作しないと損!オンラインショップの導入メリット
オンラインショップを導入すると次のようなメリットがあります。
販路を限定されない
飲食業界で言うと、デリバリーのメリットに近いかもしれません。配送サービスを利用することで店舗の近くに販路を限定されないのが強みです。
オンラインショップはインターネット環境とスマホ、パソコンなどの機器があればどこからでも閲覧および購入が可能になっています。そのため
・自宅でパソコンから購入
・外出中にカートへ入れたものをスマホから購入
といったようにタッチポイントも限定されません。また24時間365日対応できるので、時間面でも成約を設けなくてよいのがメリットです。
配送サービスを用意すれば津々浦々どこへでも商品を配送可能です。また一部のオンラインショップは配送代行サービスを提供している場合があるので、利用すると自前で配送サービスを用意する手間が減るでしょう。
また近年では越境ECの需要も高まっています。付加価値の高い商品であれば配送手数料が高くなっても購入される確率が上がるので、海外の配送サービスを利用して越境ECを実行、海外にまで販路を広げて集客する店舗も存在しているのがポイントです。
無料から導入・構築が可能
オンラインショップの魅力は導入ハードルの低さにもあります。
近年では店舗用にCMS(EC-CUBEなど)やASP(Shopifyなど)といったオンラインショップの制作サービスを取扱う企業が増えています。CMSの場合サーバー環境さえ用意できれば無料でインストールしてオンラインショップを構築可能です。またASPであればそもそもサーバー環境すら用意する必要がなく、ユーザーはアカウントを作成して利用を開始するだけですぐオンラインショップ構築へ移行できるのが魅力です。ASPの場合販売手数料などが掛かる場合はありますが、基本料金は無料なので気軽に試せます。
CMSの導入を1から行い操作するのは多少時間が掛かる場合もあります。そのため本当にオンラインショップ制作に関して素人の場合は、初期準備の手間が最低限で直感的に操作しやすいASPのほうが使いやすいでしょう。
ビジネスが成長してもコストを抑えられる
もし実店舗ベースでビジネスを拡大させようとすると、
・スタッフの増員
・店舗用の土地や建物を購入、あるいは借りる
といったコストが必要です。気軽に成長するための設備投資ができないのはデメリットです。
対してオンラインショップの場合、少ないスタッフで効率よくオンライン販売が可能です。また土地や建物を用意する必要はないので、現状の店舗を物理的に拡大させなくてもオンラインショップサービスや商品取扱数・在庫数などを増やすだけで成長へ対応できます。
成長に対してコストを抑えられるので、少ない投資で大きな効果を見込める可能性があるのもメリットです。
DtoCであればブランド力向上・ファン獲得も簡単
自店舗専用のオンラインショップを構築して集客、接客を行う販売手法を「DtoC(仲介を挟まない、店舗対顧客の取引)」と呼びます。
「楽天市場」といった総合ECモールを使うと、集客力などをモールから借りられるメリットはありますが自店舗ブランドが醸成しにくいメリットがあります。そこで認知がある程度増えてからDtoCとして新たにダイレクトショップを構築、そちらへ流すという手法が有効です。上手く流せればブランド力の向上、自店舗のファン獲得といった目的達成が総合ECモール上のみの運営より簡単になります。
またDtoCでは総合ECモールのように各手数料が発生しません。そのため売上から手数料が引かれる量を減らして効率よく純利益化できるのも魅力です。
3:おすすめのオンラインショップ制作サービス!特徴や料金を解説
ここからはおすすめのオンラインショップ制作サービスを、特徴と料金の2項目でご紹介していきます。
楽天市場
ECモール黎明期から存在している、老舗のオンラインショップです。
楽天ID数は1億を突破しており、楽天グループの各サービスを利用している方は膨大な数になります。その膨大な数を楽天市場経由で集客できるのがメリットになっています。
また
・楽天スーパーポイントを利用可能
・他楽天サービスと連携したキャンペーンが頻繁に開催される
といった特徴もあり、楽天の原資を上手く自店舗のオンラインショップ運営へ活用したい方におすすめのサービスです。
価格
初期費用 :6万円
月額固定費:¥1万9,500~
手数料:2~7%
ヤフーショッピング
https://business-ec.yahoo.co.jp/shopping/
月8,000万人以上の訪問者数を誇る「ヤフージャパン」運営のオンラインショッピングモールです。「PayPayモール」や「LOHACO」といった関連オンラインショップ情報の掲載もあり、取扱いジャンルは自転車や食品といったように多数にわたります。
ヤフーショッピングでは
・ヤフージャパン各ネットサービスを原資にした集客力
・ソフトバンクやLINE、PayPayといったサービスの顧客基盤
・初期費用、固定費といった手数料が無料
といった点が特徴です。
集客力を借りながら低コストで運営ができるので、総合モールでオンラインショップをスモールスタートしたい方はヤフーショッピングを使ってみましょう。
価格
初期費用:無料
月額費用:無料
売上ロイヤリティ:無料
その他 :ストアポイント原資負担(1~15%)、キャンペーン原資負担(1.5%)など
Amazon
Amazonでは越境ECサービスも提供しており、手続きを取れば海外へも販路を伸ばせます。
日本国内に限らず海外の商品まで含めてさまざまな商品が取扱対象です。「Amazonプライムセール」といったイベントにはたくさんの顧客が集まるので、成功すれば大幅な集客増加も狙えます。
また対象者向けに「FBA」という配送サービスを提供しているのもポイントです。商品の保管や配送をAmazonへ委託できるので、業務効率化や顧客の信頼性向上などへつなげられます。
価格
初期費用:無料
月額費用:小口・大口で異なる、要確認
販売定数料:詳細はサイト確認
その他:配送料・FBA手数料
square
スクエアは本来実店舗でクレジットカード決済を手軽に導入するためのサービスです。しかしオンラインショップを制作できる機能も搭載されているので、キャッシュレス導入とともにEC事業も同時に開始できる点がメリットになっています。
・従業員別の売上管理
・タイムカード
といったように業務管理面でもさまざまな機能を提供しており、またオリジナルのギフトカードを制作して集客する、といった手法が実行可能です。DXを実行したい店舗へもおすすめのサービスです。
価格
初期費用:無料
月額費用:無料
振込手数料:無料
決済手数料:3.6%
Shopify
カナダ発のASPであり、無料で手軽にオリジナルオンラインショップを構築可能です。そのためDtoC事業を始めたい店舗にとっては強力なツールとなります(14日間の無料体験後は有料プランへ移行となります)。
「Shopify アプリストア」というサービスから機能を追加して、オンラインショップ機能を強化できます。また自店舗にデザインスキルがない場合は「Shopify Experts」認定されている業者へ業務を委託、洗練されたデザインのオンラインショップでブランドを醸成可能です。
価格
月額費用:
ベーシック:29米ドル
スタンダード:79米ドル
プレミアム:299米ドル
その他:アプリ追加や利用などに料金が発生する場合あり
STORES
初心者にも優しい、国産のASPです。初心者ガイドが掲載されているので、熟読すれば安心してオンラインショップ開設ができるでしょう。
・SNS連携
・予約販売
・顧客管理
といったさまざまな機能が無料から利用可能であり、制作は簡単ながら多機能なオンラインショップを構築できる点がメリットです。
また
・クレジットカード
・電子マネー
・QRコード決済
各決済を実店舗へ導入できる「STORES決済」も提供されているので、DXを始めたい方はぜひこちらもチェックしてみてください。
価格
初期費用:無料
月額費用:フリープラン0円、スタンダードプラン2,178円
決済手数料:フリープラン5%、スタンダードプラン3.6%
4:アプリと連携するメリット
アプリとオンラインショップの相性がよいことは、EC用にアプリを作るケースが多い点でも実証されています。EC用にアプリを1から作るのは手間が掛かるデメリットがありますが、オンラインショップを所有している状態でアプリと連携させるのは簡単です。
連携させると次のようなメリットが得られるでしょう。
アプリメニューへオンラインショップURLを設置してオムニチャネル化できる
自店舗アプリを利用するユーザーは、「オンラインショップがあるならばそこで商品を購入したい」を言った希望がある場合があります。自店舗アプリからオンラインショップへ導線がないと、お客様はいちいち検索してオンラインショップを探す必要が出てきます。
しかし自店舗アプリへオンラインショップ用URLを設置すれば、気になるときにすぐアプリを立ち上げてオンラインショップへ移動可能です。自店舗とオンラインショップで在庫を共有するといった施策も行えば、オムニチャネル化へ一歩近づけるでしょう。
アプリIDを紐づけして、オンラインショップにてデータを取得し購買データを蓄積
自店舗アプリとオンラインショップのデータを紐づけるには、アプリIDの利用がおすすめです。アプリIDはアプリのインストール時に自動で設定されます。
アプリIDを使えば面倒な連携の必要なく、オンラインショップにてデータを取得して購買データを蓄積する、といった手法が取れるのがメリットです。
セグメント分析データからのマーケティング施策
自店舗アプリで取得したデータとオンラインショップで取得したデータを連携させれば、さまざまな施策を検討できます。
たとえば
・昔は来店が多かったが最近は少ない遠方のお客様へオンラインショップを提案
・オンラインショップを頻繁に使っているお客様へ実店舗クーポンを来店フックとして配布
といった手法で実店舗とオンラインショップの集客を連携させる方法が考えられます。実店舗でもオンラインショップでもたくさんデータが収集できれば精度が向上するので、ぜひ積極的に母数を集めて分析へ活かしてみてください。
オンラインショップで購入した際のポイントをアプリ側に表示が可能
オンラインショップの購入ポイントを、アプリ側へディスプレイ表示する方法も有効です。お客様は好きなタイミングで貯めたポイントを確認して、利用するかしないか決められます。
またアプリへポイント表示する場合は、ポイントのオムニチャネル化も検討してみましょう。
・移行処理を行うことで実店舗でも利用できるようにする
・最初から実店舗とオンラインショップでポイントを共通にする
といった施策が考えられます。
5:アプリとオンラインショップを連携する方法とは?
アプリとオンラインショップを連携させるには次の方法があります。
①アプリメニューにオンラインショップのURLを設置し遷移
アプリメニューにオンラインショップに関するURLを設置して、アクセスができるように調整できます。
・メリット
システムを改修・開発せずに遷移先のURLをアプリメニューに設置するだけ 個人情報はオンラインショップで取得可能
・デメリット
アプリ側の情報はオンラインショップ側に反映されない
通常の購買データのみオンラインショップ側で取得可能
②パラメーターを設置してオンラインショップと連携させる
アプリにパラメーターを設置してオンラインショップとデータ連携を行う方法もあります。URLを設置するだけの方法より密接な連携が可能です。
・メリット アプリの基本機能なので追加開発なし。ヘルプページに設置の詳細説明あり
アプリのユーザーID・会員証番号・ニックネームの紐づけが可能
システム連携によりアプリユーザーへプッシュ通知、クーポンを付与可能
・デメリット 連携される内容は、ユーザーID・会員証番号・ニックネームのみ
③API連携開発でアプリと各種システムのつなぎこみを行う
外部のソフト機能を呼び出せる「API」機能を使えば、アプリとオンラインショップ間のデータ連携に関して細かい指定が可能になります。カスタマイズ性を求めるならば検討してみましょう。
・メリット 連携データをアプリ側に表示できる
・デメリット 開発コストが増え作業工数が長期化、アプリリリース遅延の可能性がある
6:まとめ
今回はオンラインショップのメリットやおすすめの制作サービス、そしてアプリとの連携メリットなどをご紹介してきました。
オンラインショップは販路を限定されない、コロナ禍でも非対面で接客できるツールです。ぜひ実店舗との集客とも連携させてオムニチャネルを狙い、将来的なニューノーマル運営へ対応していきましょう。
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